日本人ムスリムとは誰のことか(論文)

2017年現在、全国各地に100ヶ所を超えるイスラーム礼拝所(モスク)が開設され、日本のイスラーム教徒(ムスリム)人口は10万を超えている。
筆者は、改めて最新のデータに基づいて、日本のムスリム人口推計を行って、「日本人(見本国籍保持者)」あるいは「外国につながりを有する日本人」であるムスリム人口を捉えることとした。この背景には、滞日ムスリムの活動が活性化し、「日本人ムスリム」の活動も目立つようになってきたこと、及び将来的には「日本のイスラーム」形成の可能性があることから、筆者は滞日ムスリム人口に占める「日本人ムスリム」の比重を確認しておくことが重要と考えたからである。


本稿では、日本におけるムスリムの人口集団の歴史を概観したうえで、2016年末現在における外国人ムスリム人口を改めて推計する。その上で、日本のムスリム人口のうち、「日本人ムスリム」の規模とその実像について、『在留外国人統計』や『官報』を利用して、詳しく検討し報告する。