日本のムスリム人口 2024年

最新の在留外国人統計のデータを利用して、2023年末時点の日本のムスリム人口推計について提示する。[i] 1990年以降のムスリム人口増加の要因として考えられるのは、仕事や留学・研究などによる外国人ムスリムの来日と、中長期の滞在が可能となる在留資格を取得した外国人ムスリムの増加である。日本人との結婚、結婚にともなう家族成員の増加、仕事・研究、技能実習や研修等を契機として、中長期的に「定住」するムスリムが増加し、永住資格を取得する外国人ムスリムも増加した。とりわけ近年は、後述するように、インドネシア国籍のムスリムについては、技能実習資格等での来日が急激に増加してきている。以上のような多様な要因が重なり合って、外国人ムスリムの人口が増加し、またそれに随伴して日本人ムスリムも増加してきたのである。人口推計の主たる資料となる在留外国人統計によれば、2020年からのコロナ禍によって在留外国人数も大きく影響を受けることになったが、近年では再び在留外国人数が増加している。因みに、2020年12月末の在留外国人統計を参照すると、在留外国人数は約289万であり、前年の2019年末現在には約293万であったから、約4万の減少となった。さらに、2021年末には約276万へと減少した。しかし、その後の変化を見ると、2022年末には308万、2023年末には341万と、2020年末からの3年間で50万の増加が見られたのである。このような増加が、日本のムスリム人口にも大きな影響を与えていることは間違いなく、改めて、日本のムスリム人口を推計することにしたのである。


表題では2024年のムスリム人口として表記することとした。在留外国人統計の最新データは、2023年12月末時点のものである。また同時に使用する不法残留者のデータは、2024年1月1日現在のものである。そこで、タイトルには、2023/2024年と表記することも考えたが、2024年1月1日0時現在のデータとみなすこともできるであろうと考慮して、今回は、「日本のムスリム人口 2024年」とタイトルをつけることとした。

また本稿の文末には、モスク(マスジド)の設立状況に関するリストを掲載した(2024年6月現在)。初めに都道府県別にモスク所在の自治体名を明記したリストを掲載し、一覧のリストでは、モスク名、所在地(都道府県と市区町村)、開設・確認年次の順に掲載した。